高層空間のことを考えますと、下町の垂直インフラストラクチャーとして、道路の下は公益公共施設というのを必ず公益公共団体がつくりますが、建物に入った瞬間に、エレベーターやバイプラインは、みんな自分でやらなければいけないわけです。
これではみんな水平スプロールしていくに決まっています。
垂直に対しても、垂直国道とか垂直のパイプラインに対しても、公共が一両出してくれる。
そうしますと、空中空間というのはもっとつくられてくるわけです。
こういったインフラストラクチャー基盤というのは、水平基盤から垂直基盤に対しても、公共公益のバックアップが欲しいわけです。
またここで、北山杉の世界と言ったのは、地中に地下系を十分につくり上げる。
地下系というのはインフラストラクチャー基盤なわけです。
こういった高層建築をつくる背景には、地下に必ず水脈があり、根っこが張っているわけです。
そして、地上の下枝を切りはらうように、ピロティーにすることは、風が流れる。
風が流れれば緑が、そして地下水が地下にしみ込んでいく。
こういったエコロジカルなバランスというのが、ブッシュのやぶ林よりは、人手の入った超高層建築空間というのが一つの都市開発の姿、あるいは下町の姿ではないかというふうに考えるわけです。
現在、地表は利用されていますが、地中深いところというのはほとんど使われていません。
日本の場合は、地下30メーター以下の空間はほとんど使われておりませんし、掘るのは容易なわけです。
地下30メーターのところにちゃんとした地盤がありまして、上30メーターというのはやわらかい土が乗っかっているだけですから、実際の地表面というのは地下30メーターに本当の地盤面があると考えればいいわけです。
また下町とは離れますが、「三方一両損」の社会資本整備として例えば、都、心部の再開発で、銀座や丸の内等の都心地域で、空中にペントハウスをつくって、そこに生活空間をつくることを考えています。
現在の容積率約700%の上に、さらに三階建てをつくって1000%にします。
ここに公的住居空間をつくれば、都心だけでも数百万人住める空間が出現します。
すでに現在でもこれらの地域は昼間の照明やエネルギーのインフラストラクチャー基盤、下水のインフラストラクチャー基盤はできていますから、夜に人が住んでも新たにインフラストラクチャー投資をしなくても、現在の施設をうまく使えばできるわけです。
それがなぜできないのでしょうか。
例えば銀座通りだけ取り上げますと、真ん中に居住空間、緑空間をつくりまして、ど真ん中に高層の住居をつくることは物理的には十分できます。
こういった空間をつくるために、今すぐにこれができなくても、地下だけを基盤整備しながら、そこにエネルギーや情報や、そういう基盤整備をしていく。
地下施設をしっかりしておき、地上空間をそれからさわっていく。
この戦略をうまくやったのはパリです。
パりは50年前に地下を十分につくり上げて、そして地表面を開放していくわけです。
ですから、地中と地上につくった分だけ地表面を開放していく。
これが都市開発開放で非常に大事なことです。
下町のインキュベータづくりに成功した例として、ハーバードの教授も言っていますがニューヨークのバッテリーパークの再開発があります。
港湾を埋め立てインテリジェントシティをつくったのはいいが、そこで働く人々がいない。
都市開発を維持するのは、サービス人口と都市開発機能自体を更新したりする2・5次産業という人たちがいて、その人たちが内と外の人々をつなぐ。
精神的にも物理的にも都市開発を支えていく人々。
ちょうどお都市開発のお城を支えた町入のように、国際化が起こったとき、これから世界中からやってくる人々、都市開発の都心の町を支えてくれるためのサービス人口、メンタルな面でも、フィジカルな面でも支えてくれるサービス人口。
実はロボットみたいに単一機能では絶対できないわけで、入間達の心をつなぎながら、物的なものとのなじみをつくってくれるようなサービス人口は下町の中にしかない。
山手の人情のない世界の人々にはそれは体験したことのないものです。
幸いなことに、今下町にはまだそれだけの人口があります。
この人口をもとにして、そこの空間を使いながら、なおかつそれを拠点にして、ウォーターフロント、東京湾への新しい開発が必要です。
ウォーターフロントのアーバンルネッサンス最後に、今アーバンルネッサンスというのはウォーターフロントからと言われております。
世界中のウォーターフロント、港湾施設を中心としたところが第三次産業型に転換しています。
それは住宅、市場、インテリジェントビルディングと言われるような高度なコンベンションセンタi機能を持ったオフィス、それからビジネスホテルやリゾートホテル、そういったホテル機能、こういったものは、海と陸との拠点であった物流拠点の工場、倉庫、港湾施設、こういったところが第二次産業型の物流拠点から、第三次産業型の人間の交歓拠点になろうとしています。
人間の交流拠点になろうとする新しいコミュニティ、交歓の場というのがウォーターフロントに誕生しつつあります。
交歓の場こそ第三次産業の基点だと思います。
その仕掛けをどのようにつくるかというのが、産業構造の転換に伴う都市開発大改造のかぎと思うわけです。
下町のアイデンティティーといいますか、都市開発の持っていた伝統的な生活様式、あるいは人情、これをベースとして、あるいはこれをインキュベータ(保育器)として、ウォーターフロントに新しい世界のメトロポリスをつくる。
日本のメトロポリスというよりも世界のメトロポリスをつくろうとしているわけです。